ゲームキャプチャー DN-12534 PCレス HDMI メモリーレコーダー 録画テスト
2015.1.16 更新1.23
HDMI入力のハイビジョン映像を、「単体録画」とか「PCレス録画」等と呼ばれる機能により、ハイビジョン・ビデオキャプチャーと同時にメモリーやHDDに直接書き込む事が出来るFull HD レコーダーが発売されています。これらは、「ゲームキャプチャー」とも呼ばれ、非常に安価で、工夫次第では舞台撮影にも活かせるかも、、、と検討してみました。当方では、ゲームを行うためではなく、舞台撮影での運用について録画テストを行いましたのでご参考にして頂ければ幸いです。
DN-12534とリチウムイオンバッテリーを組み合わせて、プラケースに一体化したもの。
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■比較検討したコンパクトなゲームキャプチャーデバイス
@
アテックス CAT PRO HD1000 A
センチュリーカンロクHD B
AVerMedia AVT-C875 C
AVerMedia AVT-C285
D
AVerMedia AVT-C281L(録画720p@60fpsまで) E
マイコンソフト XCAPTURE-MINI
F
ラトックシステム REX-HDGCBOX1 G
HAUPPAUGE HD PVR Rocket H
テック EzRecHD
I
マグレックス HD GAME CAPTURE MG6000 J
Dexatek DK-8171 K
上海問屋 DN-10852
条件1 パソコン不要(
PCレス)の録画
条件2 HDMI入力
Full HDの録画
条件3
小型軽量であること
条件4 1080P/30fps、1080i/60fps、1080i/59.94fpsのいずれかで長時間連続録画が可能なこと
Web情報をたよりに60fps(1080P又は1080i)で録画可能なPCレスHDMIレコーダーを探したのですが、PCレス・タイプでFull HD、60fps録画が可能のものは見当たりません。 いずれも、1080P/30fpsばかりで、映像ビットレートは16Mbps〜18Mbps、画質的にはSony HDR-535のFH:約17Mbpsと同程度のものばかりです。中には1ファイル単位の録画しかできずに、30分程で停止してしまう機種もありました。
■上海問屋 DN-12534 の特徴
1.
録画専用機で、再生や編集機能は一切もっていません。またメディアの残量表示機能もありません。
2.録画フォーマットや映像画質(ビットレート)を選択する事が出来ず、HDMI入力の場合は原則として
1920×1080P/30fps、H264/MPEG-4 AVC(拡張子は.MP)となります。
3.録画メディアは、USB2.0対応のほとんどのメディアが使用可能で、USBメモリーの他、USBハードディスク、
一部のUSBカードリーダー経由でSDXCメモリーも使用でき、8時間を超える長時間連続録画が可能です。
※マルチカードリーダーは使用不可。
4.メディア・フォーマットで、『exFATは非対応』と記されており、NTFSフォーマットでは長時間連続録画を確認済です。
5.電源電圧が5Vで、汎用性の高いリチウムイオン電池(モバイルバッテリー)を利用する事ができます。
※当ビデオドレッサーは上海問屋とは何の関係もありません。単なるユーザーに過ぎません。
■HDMI入力、Full HD録画テスト (DN-12534)/テスト項目
@長時間連続録画(目標9時間)、AGPTディスク(3TB・HDD)への録画、Bメディアの書き込み速度について
CHDMIパススルー映像の遅延について
■テスト環境
1.メモリーレコーダー:
上海問屋 DN-12534 (ゲームキャプチャー) PCレス HDMI入力
2.ビデオカメラ:
Sony HDR-FX7(又は HDR-AX2000)
HDMI出力 電源はACアダプタ Sony AC-VQ850
3.メモリーレコーダー電源:リチウムイオンバッテリー
EC Technology 12000mAh モバイルバッテリー
4.SDXCメモリー:
SUPER TALENT ST28SU1P [
128GB] UHS-I
NTFSフォーマット
5.カードリーダー:トランセンド
TS-RDF5K
6.USBメモリー:
Silicon Power Blaze B30 SP064GBUF3B30V1K [
64GB]
7.SATA→USB変換アダプター
KPHC-SATA3/U3
8.HDD 3TB・GPTディスク(NTFSフォーマット)
SEAGATE ST3000DM001
9.HDD 2TB(NTFSフォーマット)
WESTERN DIGITAL WD20EARX 2TB
10.ビデオ編集ソフト:
Grass Valley Edius6
■HDMIパススルー映像の遅延・検証
メモリーレコーダー
上海問屋 DN-12534 (ゲームキャプチャー) のHDMIパススルー映像の遅延量がどの程度のものか、以下の方法で検証致しました。
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テスト用の映像DATAの作成。1分程度の長さの映像に、5秒ごとに、1フレーム分(1/29.97秒)の白いテロップを挿入し、ストロボの様に表示させるテスト映像を作成し、Bru-ray Discに焼きます。 |
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A |
右図の様に配線します。HDビデオカメラ(SonyHDR-AX2000)のHDMI出力をHDMI分配器で2系統に分配し、ひとつはDN-12534のHDMI・INへ繋ぎ、HDMI・OUT(パススルー)経由で、スイッチャー(Panasonic AW-HS50N)に入力します。もう一方は、直接スイッチャーに入力します。ここで、パススルーに遅延がある場合はスイッチャー出力に差異が発生するものと考えました。
スイッチャーの出力を録画する為に、ATOMOS Ninja2に入力します。
※Blackmagicdesign HDMI to SDI、および SDI to HDMI は、スイッチャー(Panasonic AW-HS50N)を使用する為に必要な変換です。
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B |
いよいよ録画テストです。
@で作成したBru-ray Discをテレビ画面に映し出して、そのテレビ画面をHDR-AX2000で撮影しながら、スイッチャーの入力を切り替えて(約5秒ごと)、つまりパススルーの系統と直接入力の系統を交互に切り替えながら、ATOMOS Ninja2で録画します。
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C |
HDMIパススルー映像の遅延・検証
BのATOMOS Ninja2で録画したビデオDATAを編集ソフトで、コマ送りしてテレビ画面のフレームカウンターが連番通りであるか否かを検証します。 |
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検証結果:約6分間に渡ってCのフレームカウンター表示を確認致しましたが、全て連番通りでありました。
因って当方では、『上海問屋 DN-12534』のHDMIパススルー映像の遅延は、1フレーム以内と判断致しました。 |
■テスト結果(HDMIパススルー映像の遅延・検証)
1. |
EC Technology 12000mAhモバイルバッテリーをFull充電して、電源停止までの録画時間は、
8時間42分59秒10フレーム (再生可能なファイルのみ、SDXC 128GB使用時)
バッテリー残量が無くなり、録画途中にゲームキャプチャー DN-12534の電源が落ちて停止した場合、最後の約15分
のファイルは正しく再生出来ませんでした。
・メディア(SDXC 128GB)のフォーマットはNTFS
・コマ落ち無し
・1920×1080P (30fps) ※他のフォーマットを選ぶ事が出来ません。(PCレスでHDMI入力の場合)
・映像ファイル拡張子は「.MP4」
・ファイル数:34個×1.95GB=66.3GB
・1GB当たり約 7.8分、 1分当たり約 127MB (公表Specは、Max. 140MB/分) |
2. |
マルチカードリーダー(@LOAS CRW-37M51BK Aエレコム MR3-A001BK)経由で、コンパクトフラッシュへの録画を試しましたが認識されず、録画を開始する事が出来ませんでした。 |
3. |
書き込み用メディアでは、カードリーダー(TS-RDF5K)経由のSDXCメモリーの認識が上手くゆく場合とそうでない場合があり、
対してUSBメモリー使用の場合は難なく認識されます。 ※マルチカードリーダーは使用不可 |
4. |
DN-12534 (ゲームキャプチャー) の発熱については、ほんのり暖かくなる程度でした。 |
5. |
3TB・GPTディスク(NTFSフォーマット)への録画不可。
※1. 使用HDD SEAGATE ST3000DM001 3TB (GPT)
※2. SATA→USB3.0変換アダプターを経由
2TBまでのHDDならOK WESTERN DIGITAL WD20EARXの空き容量20%の状態での録画が問題無く出来ました。 |
6. |
メディアの書き込み速度について、所有しているものの中で最も書き込み速度が遅いmicroSDHC Class4 16GBにキャプチャーしてみましたが、数分で自動停止してしまいます。再生してみると、時々、静止画状態となったり、音声とクチパクが合っていなかったり、ファイル数が予定数より多く出来ていました。およそ、Class10以上、
ベンチマークのSequential Write 20MB/s以上のメディアなら問題無く記録出来るものと推察しています。
※カードリーダー(TS-RDF5K)経由 |
7. |
HDMIパススルー映像の遅延については、1フレーム以内と判断致しました。 |
■ゲームキャプチャー DN-12534/舞台撮影使用レポート
4Kテレビや4K家庭用カメラの販売が始まった現況においても、スイッチャーや、4K伝送用ケーブル、末端顧客に対する提供メディアが
ブルーレイ・ディスクなのか、他の新メディアが登場するのか、まだ見えてこない状況ですのでハイビジョン&ブルーレイ路線でしばらく様子見という訳で、安くなったFull HDレコーダー DN-12534を購入致しました。非常に好感をもっており、特にFull HD レコーダーでありながら、コンパクトでUSBポートをもっている事が、書き込みメディアの汎用性を高めており、SDカードやUSBメモリー、USBハードディスク等の運用を可能にしています。Full HD ポータブル・レコーダーの中でSDカード・スロットをもつ
SDカード書き込みタイプは、業務用の10万円以上するものでも
SDHC(Max.32GB)しか対応出来なかったり、当方が考える
『長時間連続録画=9時間』を満足する事は出来ません。画質は18MbpsとSPEC.的には価格なりではありますが、バックアップ機として舞台撮影現場で使用してみましたところ、ポータブルレコーダの
Ninja2や
HVR-MRC1Kの映像と見分ける事が難しい程でした。
ただ、仕様により
フレーム・レートは30fpsである事から、動きが早い部分では、パラパラとした感じになり、滑らかさが得られないという難点がありますので使用の際には注意が必要です。
DIY店で入手した半透明のプラケースに納めて一体化しているために、見た目は安っぽくて超不細工なのですが、心強いバックアップ機となりました。
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